映画のこと ・ 日々のこと

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 はじめに、せちがらい話を・・・
 最近は全くレンタルビデオ店には行かなくなった。 映画鑑賞はほとんど映画館とWOWOWでしか観なくなってしまった。 主婦の私としては、WOWOWに月々2,500円近く支払っているからには元を取らなくてはという気持ちが強くて、その「元」というのをレンタル店で借りれば幾らになるのかを勝手に基準にしている。 けれど実際の話、1か月でそんなに何十本も観られるものではない。
 毎月WOWOWから簡単な小冊子(もう少し詳しければいいのだが)が送られてくるので気になる映画を一応簡単にチェックして大概録画予約して観ている。

 映画館で観たものを除いて(時には新作も)、初めて観た作品のその中から書き留めておきたいと思ったもののあくまでも私的な感想を載せています。 そして、映画も皆それぞれに好みがあるのでさらっと読んで戴ければ幸いです。 詳しいあらすじは書いてないので、ご了承下さい。




              2012年放送の映画から

 歓びを歌にのせて(SA SOM I HIMMELEN) スウェーデン 2004年
   監督 ケイ・ポラック
   出演 ミカエル・ニュクビスト、フリーダ・ハルグレン、ヘレン・ヒョホルム

 富山にいるから情報に疎いのか、それとも私自身が疎くなったのか…。 少し情けない気がしたが2012年2月にようやくこの映画を観る機会を得た。

 とにかくヘレン・ヒョルムが演じるガブリエラの歌うシーンが最高だった。
美しい声、そして素直で力強い歌声に映画の中の聴衆は、演技ではなく本当に涙を流していた。
私も胸が打ち震えた。 本当に久々に他人の歌を聴いて、心の奥底まで歓喜してしまった。
この映画を何処ででも観ることが出来るようにDVDも買ってしまったほどだ。
 物語も素晴らしく、それぞれが苦悩や苦痛を背負いながらも、崇高なもののところへと進もうとする勇気を描いている。 ちなみに主人公のミカエル・ニュクビストはスウェーデンのテレビ映画「ミレニアム」三部作(これもWOWOWで観たもの)にも出演している男優である。
                                    (2012年1月放送)
 

 アルバート氏の人生(ALBERT NOBBS) アイルランド 2011年
   主演/制作/脚本 グレン・クローズ   監督 ロドリゴ・ガルシア 

 アルバート・ノッブスは「吹けば飛ぶよな」とても小柄な男性。 そんなアルバートが記憶の奥底に押し殺していた「女」に、一瞬目覚める海辺のシーンがある。 それがとても切なくて哀しい…。
 舞台はアイルランド、19世紀。 男性が仕事に就くのもやっとの時代。 ましてや女性がひとりで生きていくにはさらに過酷な時代。 女は男に従うことでしか生きていけない時代がずっと続く。
暴力を振るわれてもじっと耐えるしかない。
 いつの世も生きることは簡単ではない。 自分の骨身を削らなくては生きてはいけないのだ。
アルバートはある男性(?)から「なんと寂しい惨めな人生だ」と言われる。 けれども、他人にも言えない彼女なりの人生の経緯があったのだ…。

グレン・クローズ…
 彼女は、いつも耐え抜く女性を真摯に演じている女優だ。 どんな役柄でも演じきる、そんな印象を私は持っている。 その彼女がオフブロードウェイでこの物語を演じてから映画にすることをずっと考えていたという。 30年の歳月が経ち、ようやく映画化されたこの作品は同性の私からみて、とても良い映画だと思う。 その年のアカデミー主演女優賞にノミネートされたとか…。
 数字に置き換えれば僅か一世紀半前の物語だが、その時代に生きる一人の女性の人生を垣間見た映画だった。 私がアカデミー会員ならグレン・クローズに1票を入れたに違いない。
 急逝した敬愛する俳優の一人であるロビン・ウィリアムズとも「ガープの世界」(私の大好きな作品の一つ)という映画でロビン・ウィリアムズの母親役として共演している。
                                   (2012年2月放送)


 砂漠の花(DESERT FLOWER) ドイツ/オーストリア/フランス 2009年
  監督 シェリー・ホーマン
  出演 リア・ケベデ、サリー・ホーキンス 

 世界には、まだまだ私の知らないことがある…。あまりにも多すぎる…。 それを私は映画で知るのだ。 同じ「時間」を生きている瞬間に、この地球の何処かで、ままならないことが起きている。

 トップモデル、ワリス・ディリー(ソマリア出身)の自伝映画。 私自身は、真実であるあまりにも悲惨な現実を直視出来ないでいる。 それを「真実を基にして創られた映画」としてならばなんとか見ることができる。 それでも、しかし、全てではない。
 「ホテル ルワンダ」もこの映画の数年前に観た。 部族(耳の形)が違うということだけで、他の部族の者を虫けらのように鉈で殺していく。 それは遡れば、ヨーロッパの植民地時代が少なからず影響していることをこの映画の僅かなシーンで語っている。
 未だにある過酷な環境、この地球上の女性は、まだまだ男性から奴隷のように扱われ、慰みものとなっている。 2013年6月頃だったか、ヨーロッパの何処かで、その現状を知ってもらうためと、救うためのチャリティーイベントの番組をWOWOWでやっていたが、会場に来ている満員の観客はそんなことよりスーパースターの出演にお祭り騒ぎだった。 ゲストで出演している人たちも、どれだけの人がこの悲惨な現状の恐怖を心底感じているのか、私には知る由もない。
 現在起こっている知っておかなければならない現実の出来事を、私は映画で知るのだ。
                                   (2012年4月放送)





                2014年放送の映画から

 かぞくモメはじめました(PARENTAL GUIDANCE) アメリカ 2012年
   監督 アンディ・フィックマン
   出演 ビリー・クリスタル、ベット・ミドラー、マリサ・トメイ

 邦題を見ただけでドタバタホームコメディを連想させるぐらいの映画かと思っていたら、出演者がベット・ミドラービリー・クリスタルマリサ・トメイと小冊子に書いてあった。
 三人とも大好きな役者でもあり、ベット・ミドラーは歌手でもある。 そのベット・ミドラーは私の中では久しぶりの映画の登場なので絶対観なければならない、とそんな思いで見始めたら、なんと二人はマリサ・トメイの両親役でもあり、そして祖父母役でもあった。
 もうそんな役をやる歳かいなと思って、私も老けたような気がしたのだが、難問題に直面すると直ぐに逃げ腰になる父親(ビリー・クリスタル)がてんてこ舞いになりながらも、疎遠だった一人娘(マリサ・トメイ)の三人の子どもの世話をしていくうちに、父としてまた祖父として活躍していく。
最後はハッピーエンドのアメリカ映画らしい終わり方で良い映画だったと思う。
 この映画のベースには、やはりベースボールがある。 ベースボールの素敵さを感じさせる映画でもあった。 ちなみに私も野球観戦が大好きである。
 それから、少しは期待していたのだが、ベット・ミドラービリー・クリスタルが一緒に歌うシーンが、やはりあった。 芸達者な二人の歌や芝居が見られてとても嬉しかった。 ああ、見逃さなくて本当に良かった…。 それにしても邦題が何とかならなかったのかと、つくづく思う。
                                  (2014年5月放送)



 愛さえあれば (DEN SKALDEDE FRISфR) デンマーク 2012年
   監督 スザンネ・ビア
   出演 トリーヌ・ディルホム、ピアース・ブロスナン

 相変わらずの品のない笑い声を発していたピアース・ブロスナンだが、相手役のトリーヌ・ディルホムがそんな品のなさを消し去ってくれている。

 娘の結婚式のために遠くまで来たはずの母親(トリーヌ・ディルホム)が、いつしか自分の人生を見つめ直すことになる。 ドラマはずいぶんとハチャメチャなのだが、ラストシーンでいつしか私は瞳に涙を浮かべていた…。 ヒロインと現在の自分自身の心境とが重なってしまったのだろうか…。
 トリーヌ・ディルホムが、公然と若い女性と不倫をしている夫に、それでも夫なのだからと、必死で我慢していたのだが、ついに耐えられなくなり夫に言い放つ…。
「年老いて二人でコーヒーを飲みながら同じ景色を眺めるなんて、私には想像できないわ」と。
 50代も後半になり、残された僅かな人生だからこそ、なおさらのこと真剣に正面から考えなければならないのだ。 本当に今のままで良いのか? この先、年老いてこの人と本当にお茶を共にすることが出来るのか…(!?) 果たしてどうなんだろうか…?
                                   (2014年7月放送)



 アップサイドダウン~重力の恋人~(UPSIDE DOWN) カナダ/フランス 2012年 
      監督 フアン・ソラナス
     出演 キルスティン・ダンスト、ジム・スタージェス



 題名だけを見るとどんな映画か想像できなかった。 だからあまり期待してはいなかったのだけれど、本当に録画しておいて良かった映画だった。
 映画を観ていくうちに、恋人役はあの「スパイダーマン」や「マリー・アントワネット」のヒロイン役のキルスティン・ダンストだということに気づく。 決して美人とは言えないけれど演技のセンスがあると思っていた女優のひとりで、最近あまり見かけないなと思っていたら、こんな映画に出ていたとは…。 けれどやっぱり存在感のある良い芝居をしているなと思った。

 映画は、密接に引き合っている二つの惑星でのお話。
 お隣の惑星へ直ぐにでも行けそうな距離なのだが、それぞれの惑星にはそれぞれの重力があって、そして規則があって、勝手に向こうの世界へ行ってはいけないのだ。 しかし、隣同士の惑星の若い男女が運命的な出逢いをしてしまう…。
 冒頭から、どこか不可思議な二つの惑星の少し寒々しい澄みきった空気の感触が、こちら側にも伝わってくるかのような映像に引き込まれていった。 それが、なんともこの映画の魅力のひとつだった。
 地球の人間社会の格差のようなものも描こうとしているが、そこに目を向けると現実的になるので不可思議で幻想的な映像に浸る…。 SF恋愛映画というよりも、私はファンタジー的要素の強い映画だと思っている。 彼らがルールを無視して、時々密会するシーンが最高にステキなのだ。
ラストシーンもとても良かったと思う。 できれば映画館で観たかった…。
                                   (2014年8月放送)


 セッションズ (THE SESSIONS) アメリカ 2012年               
      監督 ベン・リューイン
      出演 ジョン・ホークス、ヘレン・ハント、ウィリアム・H・メイシー


 「マーク・オブライエン」という男性はもうこの世にはいないのだけれど、詩人兼ジャーナリストの彼の記事を基につくられた映画。

 マークは、6歳でポリオに罹るが、カリフォルニア大学を卒業しジャーナリストになった。
 映画は彼が38歳の時のことを描いている。 38歳(1988年)の彼は、まだ女性を知らなかった。
しかし、ある出来事をきっかけに「セックスセラピー」を受けることを決断する。 そのセックス・サロゲート役がなんとヘレン・ハントだった。 さすがに50歳近い彼女を監督は全裸にするわけがないよな、と思ったのだが、ブラジャーとパンティを脱ぎ、彼女はあっさりとスッポンポンになってしまった。 全裸を見せるには歳を取り過ぎているのではないかと思ったのだけれど、実際のセックス・サロゲートの女性もそれくらいの歳だったのかもしれない。 ヘレン・ハント自身も戸惑いながら演じているような雰囲気がこちらにも伝わって来るような気がしたのだが、それも演技の内なのだろうか…。 しかし、それにしてもよく演じたな、と思う。 (「サロゲート」を辞書で調べると「代理人」とある)  いつもマークの相談相手をしてくれる自宅近くにある教会の神父の役を、海外ドラマの「シェイムレス」にも出演しているウィリアム・H・メイシーが演じているのがおかしかった。

 セラピーを受けている時に、マークはシェリル(ヘレン・ハント)に何気なく話す…。
「施設に入ったポリオ患者の平均寿命が18か月と知り、両親は僕を施設に入れなかった」と。
僅かなセリフの中に父母の我が子に対する愛しさが伝わってくる。 それが、彼の確かな支えの一つとなっていたのだろう…。 マークは首から下は麻痺しているので、自宅ではずっと呼吸器のカプセルに入っていなければならない。 外出時にはヘルパーの介助でストレッチャーで移動している。
 バージンでなくなるということは、人間の人生にとって、とても大きな出来事であり大切なことなのだろうと思う。 それが、どんな形であろうと悪い思い出でなければと思う。
 マークの豊かな優しい言葉は、泣き顔も微笑みに変えてしまう。 女性ならきっとその言葉の虜になるだろう。 言葉は魔術(マジック)かもしれない。 私自身はといえば、なかなか温かみのあるユーモアな言葉は語れないでいる。 けれど老いては、ますますユーモアというものが必要となってくる。 だからこれからでも少しずつマークのような人に近づけたらな、と思う。難しいけどね…。
 最後に、マークがシェリルに宛てた手紙の言葉を記しておこうと思う。

  僕の言葉で君に触れよう 力のないこの手の代わりに
  僕の言葉で君の髪や背中をなで お腹をくすぐろう
  まるでレンガのように動かないこの手は 僕の願いを無視し 静かな欲望さえかなえてくれない
  僕の言葉は君の心に滑り込み 明かりをつけるだろう
  僕の言葉を受け入れてくれ 君の内側を優しく愛撫するから
                                   (2014年11月放送)


 
デンジャラス・バディ (THE HEAT) アメリカ 2013年             
     監督 ポール・フェイグ
     出演 サンドラ・ブロック、メリッサ・マッカーシー


 「デンジャラス・ビューティー」のシリーズ的なものが、まだ続いていたのか(!?)と思いながら、この映画を見ていた。
 「しあわせの隠れ場所」アカデミー主演女優賞を受賞したサンドラ・ブロックだが、ゴールデンラズベリー賞にも選ばれたことがある。 普通はそんな(最低映画賞)授賞式にハリウッドスターは、わざわざ行かないものだと思うのだが、彼女は堂々(!?)と壇上に立ってスピーチしたらしい。
そんなところは、とても彼女らしいと私は思った。
 ホントに不思議な女性だ。 私が思うに、彼女はアカデミー賞的なものを欲しいとは思っていないのではなかろうか…。 アカデミー賞に縁遠いドタバタコメディやラブコメディ、ファンタジー的なラブロマンス、そして孤独な女性の役柄が多かった彼女だが、私はそんな彼女の映画を毎回楽しみ、観てきた。 その延長線上で「しあわせの隠れ場所」という映画とたまたま出会い、肝っ玉な母親役を演じて主演女優賞に選ばれてしまったのだと思う。
 取りたくてしょうがない人もいるだろう。 でも、受賞した後でも、映画の原点である大衆娯楽として、デンジャラスシリーズに出演しているのだから、彼女自身もきっと「しあわせの隠れ場所」の母親のように信念をしっかり持った性格の人なんだろうと思う。 彼女は、スマトラ沖の大地震の時も東日本大震災の時も真っ先に億単位で募金している。 男よりも男らしい女性だ。
 前述のように、彼女は以前から孤独な女性を演じることが多かった。 昨年のゼロ・グラビティ、1995年のザ・インターネット…。 デンジャラス・ビューティーシリーズも最初は誰からも相手にされないFBI女性捜査官の役だった。

 サンドラ・ブロックで思い出すのが、私にとっては、大切な映画の一つにもなっている「愛と呼ばれるもの」(1993年)という映画で、最初は、リバー・フェニックスが大好きで、この映画のビデオを購入した。 リバー・フェニックスはこの映画が遺作となっている。 その他にサマンサ・マシス、ダーモット・マルロニー、サンドラ・ブロックの面々が出演している。 20年前の映画だから皆若くて初々しいのだ。 この映画は、歌手になりたくてナッシュビルにやってきた若者たちの映画で、サンドラ・ブロックも歌手を目指してやってきた若者のひとりで、歌っているシーンが印象に残っている。
                                  (2014年12月放送)


 
         「蛍の光」という歌            


 毎年12月25日に富山市で催されている「第九交響曲」は今年(2014年)で50回を迎える。
 数年前から家族のことで元気をなくしていた私は、どうしてだか分からないけれど「第九」を聴きたいという思いにかられた。 そして8年前、思い切って富山市オーバードホールへ聴きに行くことにした。 その時「第九」を聴きながら、その年の出来事が、走馬灯のように蘇ってきた…。
そして、オーケストラと合唱団の迫力に魅せられ、今ではこれを聴かないと年を越せなくなってしまった。 それ以来、私の年中行事の一つとなってしまった。
 全ての演奏が終わった後に、恒例となっている「蛍の光」を私も合唱団と必ず一緒に歌う。
昨年は何故か「きよしこの夜」のみだったので、私的にはどうもすっきりしない年の締めくくりとなってしまった。 しかし、今年は「きよしこの夜」と「蛍の光」を皆で歌えたので満足して家路に就けた。

 随分前書きが長くなってしまったが、この「蛍の光」という歌が、私の心に染み入るのは何故なんだろうと思ったのである。 歌っていると「うるうる」してきてしまう。
 もともとは、スコットランド民謡(詩人のロバート・バーンズという人が後に作詞をしたということである)であることを最近ようやく知り、日本の歌詞とは全く違うということを「コッホ先生と僕らの革命」(2014年5月WOWOWで放送)というドイツ映画(2011年)で知った。
ちなみに、コッホ先生役は「ラッシュ/プライドと友情」(2013年)でニキ・ラウダ役で出演したダニエル・ブリュールである。
 この映画は、1870年代に厳格なドイツにあって、イギリスのサッカーを男子生徒たちに初めて教えたドイツにおける「サッカーの父」と呼ばれているコンラート・コッホ先生と生徒たちの苦難を描いた映画なのだが、本編を観た後で、エンディングにこの歌が流れると目頭が熱くなってきてしまった。 この英語の歌詞の通りに、この映画でもドイツ語で歌われていた。
 人生のある時期をともに過ごした友人との日々を懐かしく思い、そして現在も友人との日々を大切に思っている歌だった。 ああ、こういう意味だったんだ…。 良い詩だなと心から思った。

 「素晴らしき哉、人生!」(1946年)監督フランク・キャプラ、出演ジェームズ・ステュアート、ドナ・リード。 この映画のラストシーン(クリスマスの夜)にもこの歌が使われている。 この映画では、もっと涙が溢れ出てくるのだった…。
 「蛍の光」という歌は、何故か物悲しげだが、どこか温かい、私の琴線に触れるそんな曲のひとつなんだと改めて思った。
                                   2014年12月(記)